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<寄与分>
相続人の中に被相続人に対し、長く生前に介護を行ってきた、長い間に家業を無償で手伝ってきた、事業を起こすために自身の財産を提供したなどの事情があるがその対価を受け取っていない場合、その相続人には寄与分が考慮されます。これは通常の相続分に加え、この被相続人の財産の増加に寄与した分を相続分に考慮するものです。
平たく言いますと亡くなった方の生前にいろいろと世話をしてあげたり、財産を提供したりと亡くなった方の人生に大きく貢献した相続人は、生前にその見返りを得ていなければ、その死後の遺産分割において見返り分の遺産を法定相続分よりも多く貰う事ができますよ、というものです。
この寄与分が認められるのは「被相続人の財産の維持または増加につき特別の寄与があった場合」に限られます。しかし、亡くなられた方の財産の維持や増加として金銭で寄与した場合はまだ分りやすいのですが、事業の手伝いや同居での生活の手伝いや老後の介護といった金銭には簡単に見積もることが出来ない寄与であると主張するのは難しいことも多々あります。
寄与分は遺産分割協議(誰がどの位の遺産を貰うかの話合い)において各相続人が主張するのですが、他の相続が納得してくれればよいのですが、そうでなければ話がまとまらない場合があります。そのような時は家庭裁判所へ寄与分を定める調停の申し立てをしなければなりません。寄与分と言葉にするのは簡単ですが、実際に話合いで纏まらなければ寄与分を認めてもらう事は難しい権利であるのです。
<特別受益>
次に「特別受益」です。平たく言いますと寄与分の逆で、亡くなった方の生前に相続人が亡くなった方から金銭的な援助などを受けており、その援助などを生前に返還していない場合は、遺産分割の際に精算されて、遺産分割の際の取り分がが少なくなるというものです。
例えば、相続は同じ順位の相続人はすべて平等に分割されるのが原則です(子供が3人いればそれぞれ1/3ずつです)しかし、そのうちの1人だけが被相続人の生前に住居を購入するための費用を贈与されていたらどうでしょう?さらに相続の時に同じ額で分割されたら他の相続人は不公平を感じるでしょう。そのような時は遺産の分割に「特別受益」を考慮します。これも寄与分と同じく相続人の平等を考慮したルールです。
特別受益は以下の財産の贈与に対して考慮されます。
◆婚姻もしくは養子縁組のための費用
◆生計の資本のための費用
特別受益は上記3点のように金銭的なものでかつ範囲も狭いので寄与分よりは算定が容易であると思われます。先の例のように贈与されたお金が不動産の購入に充てられたのであれば比較的お金の流れが識別し易いでしょう。
しかし、とは言っても相続人の主張が対立すれば遺産分割のトラブルの種となる可能性もあります。寄与分と特別受益は相続人にとってそれぞれ主張できる権利はありますが、それを実現させるには(または実現させないには)困難なこともあることを承知しておかなければなりません。
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